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「点をわたる」対談企画 vol.1




音楽環境創造科って何?音環生ってどんな人?と疑問を持つ方は多いでしょう。

また、音環では学生はプロジェクト内の研究室に所属することになりますが、各プロジェクトや研究室ではどのようなことを行っているのでしょうか…?どんなことに興味をもち学生生活を送っているのでしょうか…?

そんな疑問に少しでもヒントになるような企画を用意しました。




これから2回にわたってお届けする音楽環境創造科の学生による対談企画。初回は学部3年生による対談です。


※対談という企画の性質上、正式な情報とは限らない場合があります。プロジェクトや研究室の活動内容、授業内容については、年度ごとに変わる可能性があります。今回取り上げる学生の作品や研究はあくまで一例であり、1人1人の興味・関心分野は異なります。他にどんな学生がいるのか気になった方は、ぜひアートパスへお越しください。




——本日は音楽環境創造科3年生の各プロジェクトから3人に集まってもらいました。それぞれ自己紹介をお願いします。


左から松村さん、稲垣さん、鹿田さん

鹿田:プロジェクト創作の田村研究室所属、鹿田愛です。よろしくお願いします。


稲垣:プロジェクトアートプロデュースの熊倉研究室所属、稲垣佳葉です。よろしくお願いします。


松村:プロジェクト音響の亀川研究室所属、松村道知です。よろしくお願いします。





——それぞれのプロジェクトはどのようなことをやっていますか。


鹿田:プロジェクト創作は、主に楽譜を扱う田村研究室とライブエレクトロニクスのような電子系を扱う後藤研究室に分かれています。


稲垣:プロジェクトアートプロデュースは3つ研究室があって、アートマネジメントを学ぶ熊倉研究室と社会学や文化研究を学ぶ毛利研究室、パフォーミングアーツやドラマツルギーを学ぶ長島研究室です。1年生の6月くらいから研究室に分かれて活動を行います。


松村:プロジェクト音響は、主に録音や音響作品を制作する亀川研究室、音響心理など研究系を行う丸井研究室に分かれています。ただ、亀川研の学生が音響心理の研究をすることもありますし、丸井研が録音をすることもあります。プロジェクトとしては、朝10時から聴能形成、数学や音響プログラミングの授業、録音実習を行い、最後は研究室に分かれてゼミを行うというスケジュールになります。


鹿田:プロジェクト創作としては、毎年7月にあるプロジェクト週間で前期の成果をお互いの研究室を交えて発表します。コンサートやレクチャーも合同で行います。


稲垣:アープロはプロジェクト全体で何かやることはあまりないですかね…他のプロジェクトと比べて早くに研究室が分かれるので、研究室ごとの色が強いかなと思います。





——それぞれのプロジェクトのイメージを教えてください。


鹿田:プロジェクト音響は、仕事人って感じがする。あと、実用的なことを学んでるから社会に出てすぐ活躍するイメージ。


稲垣:しっかりしてるよね。カリキュラムがきちんと組まれていて、手厚い。大学入ってから音響についての知識を学ぶ初心者にも優しいし、マニアックなことに関しても先生たちがサポートしてくれるんだろうな、と。


松村:確かにそうですね(笑)。職業としてイメージしやすいのもあって、社会と近いのかもしれない。エンジニアとしてスタジオで働く人もいる。大学院アニメーション専攻とコラボしてアニメに効果音をつけたりすることもあるから、そこから興味をもってアニメやゲームのサウンドデザインをする職につく人もいる。先輩をみていると、仕事の幅がそれなりにある感じがしますね。


鹿田:アープロ(プロジェクトアートプロデュースの通称)は入学当初は何やってるかわからなかったけど(笑)、やりたいことを確実に実現するために必要なことを学んでいるんだなと学年を重ねるにつれて思うようになりました。特に熊倉研がそういうイメージ。毛利研についても、その時旬の話題を捕まえられるような環境にあるよね。


松村:熊倉研は地域に根ざしたことをやっているのかな。


稲垣:熊倉研究室は研究の一環として実際の現場に1年生の最初から学生スタッフとして入ります。その現場が千住や谷中、取手といった場所。その地域の人たちとアートプロジェクトを行うことがやはりメインかな。愛ちゃんが言ってくれたみたいに何かを実現するために必要になるっていうのも、現場で経験を積むことで、感覚を掴みながら学んでいく感じですね。


松村:プロジェクト創作は「ゼミ」感が強いかもしれない。個々の作品を見る、みたいな。

稲垣:田村研は楽曲分析とかをやってるから、楽譜の読解力が高くて自分でも書けるイメージ。後藤研はインスタレーションをやる人が多かったり、音楽と美術のはざまにいる人たち、かな…?


鹿田:外から見ると後藤研と田村研できっぱりやることが分かれてて、学生もそれに合わせるイメージかもしれないけど、そうでもないかな。学生それぞれが制作したいこと・研究したいことを突き詰めて、その上でフィードバックは先生からちゃんと受けられる環境かなと思います。





——音環に入った理由を聞かせてもらえますか?


鹿田:私は、幼いころから音楽教室でエレクトーンを習っていました。演奏や作編曲を中心に学んでいましたが、もっと違う音楽との関わり方も知りたいなと思うようになり…新しい環境に身をおいたら面白いことが見つかるかもしれないとも思いました。

それこそ藝大に入って縁があって、声楽科の先輩でミュージカルやる人が一緒にコンサートやろうよって言ってくれて、来年そこでエレクトーンを弾く機会があります。

新しい環境だったら何か面白いことができるんじゃないかと思っていたのが、少しずつ実現していってますね。アニメーションに音楽を付ける授業も楽しかったし、学生それぞれ音楽との関わり方が違うというのも刺激的で面白いなと思います。


稲垣:私は元々入学した時は音響やりたくて。サウンドデザインをやりたかったんですね。それで工学部も見たんですが、工学部だと技術寄りになっちゃうのかなと思って。一方で、美大に行こうかなとも思っていました。高校は美術部で、デザインや映像、サウンドアートにも興味があったからそういう領域が学べるところがいいかもとも思っていました。ただ、音響に絞りきれてないところがあって、音環であれば選択肢が広い感じがしたのでいいかなと思って決めました。


松村:そもそも音楽を始めたのが他の音環生と比べて遅いのかな…。どちらかというとずっとゲームが好きだったので。ゲームとか映像とか、そっちの系統の進路をずっと考えてたんです。高1のとき入った軽音楽部でPAをやっていて、実際に現場で働いてるような人たちとも出会う中で、高2の終わりくらいの時に音響系に進むのもいいかもなって調べているうちに芸大を知りました。

音環を調べてて22.2chのマルチチャンネルシステムがあるって知って、なにそれー!やってみたい!ってなりました。音響といっても録音だけとか、サウンドデザインするだけとかではなく、音にまつわることを全般的にカバーできそうな環境に惹かれましたね。


稲垣:あと、他大の研究室とかだと教授の研究テーマを手伝うこともあると聞いたことがあって、音環ってどこの研究室もそうじゃなくて学生の自主性が尊重されるので、それはとてもいいなと思いました。





——今、どんな制作・研究をしているのか、どのようなことに興味があるのか教えてください!



鹿田:ゼミではラヴェルを中心に、和声の構造を分析したりしてます。ラヴェルの楽曲が大好きで、どのような楽曲構造なのか、何に着想を得ているのかを辿っていくのが楽しいです。あと、音楽と音楽以外のものを結びつけた創作を絶対したいって入学時から思ってました。新体操やってて踊ってたというのもあるんですけど。


稲垣:え、そうだったんだ!


鹿田:そう(笑)踊りもやってたし、絵もやってたりお花生けたりしてたので。その経験からヒントを得て、藝祭では、一つの詩に対して美術学部の人が絵を描き私は音楽を作るというコンサートを開きました。去年のアートパスでは、短歌を創作のヒントにした曲を作りました。「5」や「7」といった言葉のまとまりを意識した曲ですね。純粋な音楽の創作っていうよりは、音楽以外の要素を絡めることにとても興味があるので、それを意識して活動しています。


稲垣:去年のアートパスはモチーフが百人一首だったよね。和歌から引っ張ってくることが多いと思うんだけど、それはなんでなの?


鹿田:ラヴェルの分析をしてた時に、マレーシアの詩の韻律を元にした曲を見つけたんですね。日本人の私がラヴェルと同じようなことをするとしたら、和歌かなと思いました。言葉を音楽で描写するっていうのも興味があったから。和歌面白いって思って、現代短歌にもめっちゃ興味持ってます。


松村:今やってることは、大まかにいうとゲームのサウンドデザインとアートパスの制作、外部で録音したり、自主制作で録音してミックスしたり…かな。高校でPAの手伝いもしてる。藝祭では、YouTubeの下に出てる名前見ればわかるんですけど、音響は8割全部自分の名前ですね…


鹿田:どーちくんの名前がほとんどの動画にクレジットされててすごいと思った!


松村:ずっと6ホールの調整室でミックスをしてました…

また、大学院アニメーション専攻のゲームコースの修士1年生の方が作っている作品に自分は音響として参加してます。Wwiseっていうソフトを使ったり、プログラミングをしたり、サウンドデザインをやったり、と。作曲の人が書いた曲をフルオーケストラで録音して、ミックスして…そのゲームの音に関することを全てやっている感じです。

今年のアトパの作品は仮想空間上に藝大の6ホールを再現して、その中で行われる演奏をコントローラーを使って自由な位置から聴くって感じの作品です。コンテンツとして存在する「音のVR」に違和感を持ったのが制作のきっかけですね。再生は27.2chのスピーカーで行います。球形状にスピーカーが配置されてるので、360度から音が聞こえてくる感じです。6ホールの中ではとあるゲームのオーケストラ曲を使用する予定なので、知ってる人もいるかも…


稲垣 : 「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」という、千住地域で展開されているアートプロジェクトの事務局に学生スタッフとして携わっていて、そのなかでも「千住•人情芸術祭《1DAYパフォーマンス商店街》」という、ちょうど千住キャンパスの隣にあるほんちょう商店街で、お店の軒先や路上でプロアマを問わない表現が繰り広げられる企画の運営担当をしています。

個人としては、それをどう記録してしていくかに興味があって、表現街は公募出演者・ゲストアーティスト・事務局・足立区・商店街・地元の信用金庫・当日スタッフ等々、色んな立場の人が関わるのが特徴なんですけど、記録写真や映像とは違うかたちで、本番当日のことに限らず、どうやってその様々な視線を交差させて遺していくか、さらに記録をどう次に展開させるか?みたいなことを考えたいと思っています。

あとは長島先生にもお世話になったりしていて、そっちではベルクソンというフランスの哲学者の著作を1作目からひたすら読んでいく、というゼミをしていただいています…(笑)

アートに関わる上での考え方のヒントになるようなことを注ぎ込んでもらっている感じですね。



——アートパスでの作品や研究発表も楽しみですね。本日はありがとうございました!


文=遠藤玄大


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